川柳・俳句‐回文

しんかいてくつにひにつくていかんし
深海で靴に火に付く定冠詞 2017/12/27

くといかこのひしりしひのこかいとく
くどい過去 『野火』知りし日の誤解とく 2017/12/27

てきさくよきはつなつはきよくさきて
適作よ 奇抜な椿よく咲きて 2019/3/5

しるたけつていきをきいてつけたるし
知るだけって 息を聴いて告げたる死 2019/4/25

いてよるのとんこうこんとのるよてい
居て 夜の鈍行今度乗る予定 2019/6/23

くゆりほのくらいかいらくのほりゆく
燻り仄暗い快楽昇りゆく 2020/3/15

はらなみきうたつてつたうきみならは
薔薇並木歌って伝う君ならば 2021/5/22

はらなんてうそかこかそうてんならは
薔薇なんて嘘 過去が争点ならば 2021/5/22

はうとうろきらつとつらきろうとうは
這う道路 きらっと辛き労働は 2021/5/22

ちかきかたとほきあきほとたかきかち
近き肩 遠き秋ほど高き価値 2021/8/16

くいつかうとりくちくりとうかついく
杭使う屠戮 ちくりと穿つ偉躯 2019/3/5

よはかうくかをりたりをかくうかはよ
余波が浮く 香りたり 丘・空・河よ 2019/3/5

きしむとかきかてはてかきかとむしき
軋む咎聞かでは手書き画図無色 2019/3/5

なるいちたはるかなかるはたちいるな
鳴る一打 遥か流る場立ち入るな 2019/3/5

とおきろしはしけるけしはしろきゆき
遠き路地弾ける夏至は白き雪 2021/5/22

すはるみしかいあにあいかしみるはす
昴見しガイアに愛が染みるはず 2021/5/22

もくとうとはんせしせんはとうとくも
黙祷とパンセ 自然は尊くも 2021/5/22

きいのいはしきみるみきしはいのいき
紀伊の岩 頻見る水岸 肺の息 2019/3/5

さのてつかむしついつしむかつてのさ
座の鉄火 無実いつ染むかつての紗 2019/3/5

はきしりをかみきるきみかをりしきは
歯軋りを噛み切る君が折りし牙 2019/3/5

つみつくりてきいかいきてりくつみつ
罪作り 敵意が生きて理屈満つ 2019/3/5

かすはるのとんこうこんとのるはすか
賀す春の鈍行今度乗るはずが 2019/6/23







 川柳・俳句‐逆文

にしむほしさるすんせんてはしけとふ
ふとけしはてんせんするさしほむしに
滲む星去る寸前で弾け飛ぶ
ふと夏至は伝染するさ凋む詩に 2020/4/27

とろくろくみすてけむにはのこるゆき
きゆるこのはにむけてすみくろくろと
泥黒く見捨てけむ庭残る雪
消ゆる此の場に向けて炭黒々と 2021/5/8

きつるかひたませともきまつてはれか
かれはてつまきもとせまたひかるつき
来つる蚊火騙せども決まつて晴れか
枯れ果てつ 巻き戻せまだ光る月 2021/5/8

つなくわさよひやみはすきとほるつみ
みつるほときすはみやひよさわくなつ
繋ぐ業宵闇は透き通る罪
満つるほど疵は雅びよ騒ぐ夏 2021/5/8

てにとつくとうきからはやふさすきつ
つきすさふやはらかきうとくつとにて
手に届く動機から隼過ぎつ
突き進ぶ 柔らかき独活屑と似て 2021/5/8

さくらつけるすにかきつてふれうるは
はるうれふてつきかにするけつらくさ
桜漬け 留守に限って触れうるは
春憂ふ 手付きが似する欠落さ 2021/12/21

とこのちのなかめさひしきにしひさす
すさひしにきしひさめかなのちのこと
床の血の眺め寂しき西日差す
遊びしに来し氷雨かな後の事 2021/12/21

みつくきのきるしうやうはひゆるつと
とつるゆひはうやうしるきのきくつみ
水茎の切る 秋陽は冷ゆる都度
閉づる指 放養 著き野菊摘み 2021/12/21

きりやきゆかきととめしをかたるゆき
きゆるたかをしめとときかゆきやりき
義理や消ゆ 書きとどめ死を語る雪
消ゆる鷹惜しめど時が行き遣りき 2021/12/21

やはりつゆみるはつまうてくらきくに
にくきらくてうまつはるみゆつりはや
やはり露見る初詣 暗き国
憎き落潮まつはる身譲葉や 2021/12/21

すんせんていまめにうつすむらくもよ
よもくらむすつうにめまいてんせんす
寸前でいま目に映す叢雲よ
夜も眩む 頭痛に眩暈伝染す 2022/12/3

よいなんかつしつまをはきてきるたけ
けたるきてきはをまつしつかんないよ
酔いなんか辻褄を破棄できるだけ
気怠き手 牙を待つ実感 無いよ 2020/3/15

はるはるすくるふをりかひかひしきし
しきしひかひかりをふるくするはるは
春は留守 狂ふ折甲斐甲斐しき師
頻きし日が光を古くする春は 2021/7/25

すけとへひきかあらはれぬにちほつし
しつほちにぬれはらあかきひへとけす
菅と蛇 君が現れぬ日没時
日?血に濡れ薔薇赤き火へと化す 2021/7/25

はきとるみひそめあふほにとほるゆひ
ひゆるほとにほふあめそひみるときは
剥ぎ取る身潜め逢ふ 穂に通る指
冷ゆるほど匂ふ雨添ひ見る時は 2021/7/25

てつたなみよるかわはとこなんたんか
かんたんなことはわかるよみなたつて
照った波寄る川は何処南端か
簡単なことは分かるよ皆だって 2020/3/15

もくてきのせかいおかしてこえにてす
すてにえこてしかおいかせのきてくも
目的の世界冒して声に出ず
既にエゴでしか 追い風退きて雲 2020/3/15

たかふよおもひのせかたきかんらいか
かいらんかきたかせのひもおよふかた
違ふ夜 思ひ乗せ難き寒雷が
解纜か北風の日も及ぶ潟 2021/7/25

こやみしきのつみちはてかひかむねふ
ふねむかひかてはちみつのきしみやこ
後夜見し儀 野つ道果てか引かむ合歓
船向かひ香で蜂蜜の来し都 2021/8/16

やまつはのくひるかしはきにすらむね
ねむらすにきはしかるひくのはつまや
山つ葉の縊る柏木似ず ラムネ
眠らずに木橋駆る 引くのは妻屋 2021/8/16

みつはせうせかたきるかなよもくらむ
むらくもよなかるきたかせうせはつみ
水芭蕉瀬が滾るかな 夜も眩む
叢雲よ流る 北風失せば罪 2021/8/16

しはせつなきよきかさりかきなもすか
かすもなきかりさかきよきなつせはし
詩は刹那清き飾りか奇な百舌か
数もなき狩り 然か清き夏忙し 2021/8/16

きのうなくふしをたまるはつきよにひ
ひによきつはるまたをしふくなうのき
機能無く富士を溜まる葉 月夜に火
日に避きつ 春また教ふ苦悩の儀 2021/8/16

のくせきふねはつとにけむはかなきか
かきなかはむけにとつはねふきせくの
退く隻鳧音はつと逃げむ儚き香
夏季半ば無下に閉づ 翅吹き塞く野 2021/8/16

つひかよしはせつほしたけるりかはて
てはかりるけたしほつせはしよかひつ
終が由馳せつ 星だけ瑠璃が果て
手は借りる蓋し欲せば初夏漬つ 2021/8/16

みるたきをつつみききしにまさるしは
はしるさまにしききみつつをきたるみ
見る滝を包み聞きしに勝る柴
走る様 錦木見つつ招きたる身 2021/8/16







 非定型‐回文

てんせんするすんせんて
伝染する寸前で 2020/6/7

いたみすらゆらすみたい
痛みすら揺らすみたい 2020/6/7

たつたひとつとひたつた
たった一つ飛び立った 2020/6/7

ひたすらしをしらすたひ
ひたすら死を知らす旅 2020/6/7

まつのひこはえかきさしつつつつしさきかえはこいのつま
松の蘖が兆しつつツツジ咲き交えば恋の端 2017/12/21











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